『黄昏乙女×アムネジア』を久しぶりに観た感想

 

 

はじめに

以前『黄昏乙女×アムネジア』を久しぶりに視聴したので、今回の記事では改めて観てみて感じたことを簡単に述べていきます。黄昏乙女を観たことがある人は内容を思い出してみてください。

 

ちなみに、僕は黄昏乙女のアニメだけでなく、原作の漫画も全巻購入しています。そのため、原作の知識も有していますが、原作とアニメではストーリーが異なるため、今回はアニメ版のストーリーを楽しむことができました。

 

一ノ怪 幽霊乙女

旧校舎の幽霊・夕子さん

第1話では物語の起点ではなく、『黄昏乙女×アムネジア』がどのような物語であるかを視聴者に紹介するような回になっていました。前半では夕子さんが見えない視点、後半は夕子さんが見える視点で同じ場面が描かれていましたが、このアニメならではの演出はすごく面白いなと思いました。この演出を考えた方は天才だと思います。

 

二ノ怪 邂逅乙女

着替えている夕子さん

第2話が物語の起点に当たります。主人公の貞一と幽霊の庚夕子(かのえ ゆうこ)さんの運命的な出会いや怪異調査部の設立経緯などが描かれました。夕子さんの過去、気になりますよね。思いこみにより存在しないものが見えてしまうというのには妙に納得がいきました。小此木さんには恐ろしいものに見えているのに実際は夕子さんが無邪気にお化けの真似事をしているだけなのが面白かったです。

 

三ノ怪 昏黒乙女

貞一に抱きつく夏服の夕子さん

夕子さんの血縁である庚霧江が登場し、貞一に夕子さんは危険だと忠告しました。いつも人目に入らないので服を着なくても恥ずかしくないいつもの夕子さんでしたが、霧江さんの再度の忠告により、貞一の目に映る夕子さんの姿が不気味な感じになっていたのは怖かったです。怖いと思うと怖く見えてしまうというスタンスがこの作品では貫かれています。最終的に夕子さんの見た目は元に戻ったので、安心しました。第3話までで怪異調査部のメンバー(夕子さん、貞一、小此木さん、霧江)が全員揃いましたね。

 

四ノ怪 払暁乙女

夏休みで貞一不足な夕子さん

怪異調査部の合宿が始まりました。貞一に会えなくて拗ねていた夕子さんはワガママでしたが、気持ちは一応わかります。霧江さんが可哀想でしたが…。幽霊を見たい気持ちが強いのに夕子さんが見えない小此木さんが夕子さんに翻弄されているのは毎回面白いです。今回の宿直室の幽霊などのほとんどの怪談のオチは夕子さんですが、呪い石は何かありそうですよね。貞一の名前を呪い石にマジックで書いていたのは面白すぎます。

 

五ノ怪 憧憬乙女

よく泣いている霧江

楽しい文化祭が始まりました。怪異調査部はお化け屋敷を開いていましたが、夕子さんという本物がいるので、効果は絶大でした。怖いと思うと怖いように見えるというスタンスが上手く生かされています。小此木さんと霧江も文化祭を楽しんでいましたが、ずっと人体模型が一緒だったのが珍妙な光景で面白かったです。霧江さんはもっと自分に自信を持っていいと思います。

 

六ノ怪 復讐乙女

いろいろ食べたいものがある夕子さん

文化祭はまだまだ続きます。銅人(アカヒト)さんの噂が学園中に広まりますが、これは有子さんが仕組んだものでした。この噂により狂乱した生徒たちが怪異調査部を襲っていたのが不気味でした。演出もいい味を出しています。夕子さんと同じ名前の有子さんの気持ちはわかりますが、よくここまで生徒を扇動できるなと感心しました。問題は最終的に解決しましたが、モブの生徒たちの狂乱具合が本当に凄かったです。

 

七ノ怪 忘却乙女

貞一と一緒にいたい夕子さん

さりげなく体育の授業に混ざっている夕子さんでしたが、夕子さんがしたことは全部貞一のしたことになってます。「えぇ…」という周りのリアクションが面白かったです。そして、前々から存在が示唆されていた「影夕子」がついに貞一の目の前に現れました。姿はよく見えませんが、声だけでもおぞましいです。影夕子は気のせいだと信じたい夕子さんですが、夕子さんの負の感情が切り離されてできたものが影夕子であることは間違いないでしょう。そして、いろいろと怖くなり、思い出したくないと願ってしまった夕子さんは貞一を階段から突き落としてしまいます。この急展開には、初見時は驚かされました。EDに夕子さんが映っていないのも印象的です。

 

八ノ怪 追憶乙女

貞一を応援している小此木さん

夕子さんは貞一に関する記憶を忘れてしまいました。まさに「アムネジア」(記憶喪失)です。貞一はそのまま夕子さんのいない生活を送りますが、小此木さんの励ましなどを受け、再び夕子さんのもとへ向かいます。OPの映像で見られた紅葉いっぱいの屋上での貞一の告白により、夕子さんの記憶は戻り、夕子さんと貞一の絆はより深まりました。良かったです。しかし、影夕子の問題はまだ残っています…。小此木さんの「幽霊の夕子さんのことが好きだったんですねー!」という言葉は面白かったです。

 

九ノ怪 怨念乙女

夕子さんにいたずらされる小此木さん

貞一が大好きな夕子さんが帰ってきました。しかし、今まで夕子さんになかった感情が今回現れています。貞一のキャラ弁を作ったのは器用すぎます。この作品は玉子焼きに厳しいですね…。一人でいた夕子さんの所に影夕子が現れますが、夕子さんが気になって戻ってきた貞一はナイスでした。影夕子が迫ってくる場面は本当に恐ろしいです。そして、影夕子に接触したことにより、貞一は影夕子の記憶を見ることになります。

 

十ノ怪 喪失乙女

夕子さんの妹の紫子さん

夕子さん視点で夕子さんの過去を見ている貞一ですが、痛みなどの感覚も貞一は一緒に感じているみたいです。村では疫病が流行っており、村の偉い人達が焦っていたのが生々しかったです。ここで銅人の名前が出てきましたが、話が進むにつれて今までの怪談話が少しずつ繋がってくるのが『黄昏乙女×アムネジア』の面白い点の一つだと思います。わかっていたことですが、夕子さんが人柱になる経緯はやはり見ていて辛かったです。なかなか酷い死に方です…。

 

十一ノ怪 紅涙乙女

貞一と出会えてよかったと思う夕子さん

貞一が夕子さんの過去を知ってしまったことにより、夕子さんは貞一のことが見えなくなってしまいます。今回は貞一のことを忘れてはいませんが…。貞一は夕子さんの目を何とか引き、影夕子の辛さを知ったため、影夕子のことも夕子さんと認めます。そして、夕子さんと影夕子は一つになりました。これだけでもいい終わり方なのに、夕子さんがかつて守った浅葱ちゃんが貞一のおばあちゃんという事実には驚きです。これは原作と異なる設定ですが、よく考えられていると思いました。

 

十二ノ怪 黄昏乙女

キスをする夕子さん

いつも通りの日常が送られていると思いきや、なすべきことを果たし成仏目前の夕子さんから別れようと言われてしまいます。貞一と夕子さんの最後のシーンは本当に悲しいです。夕子さんの姿がどんどん見えなくなったり声が聞こえなくなったりして、哀愁が大きすぎました。「まだ行かないで!」と叫ぶ貞一の姿が切ない…のですが、最後にしたキスが心残りということで、成仏できなかった夕子さんは帰ってきました。ハッピーエンドで良かったです。

 

おわりに

原作とは異なる展開を迎えた『黄昏乙女×アムネジア』のアニメですが、原作に負けない程のクオリティを誇っていたと思います。この作品の魅力はいろいろとありますが、第1話の演出が一番印象に残っています。全体的に演出の効果が生かされていた作品でした。

 

黄昏乙女の原作の漫画はアニメとは異なる展開を迎えますが、原作も面白かったので、興味のある方はぜひ読んでみてください。