過敏性腸症候群の体験談【発症→診断→症状放置→症状改善、振り返り】

皆さんは「過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome, IBS)」と呼ばれる病気をご存知でしょうか?

 

今回の記事では、実際に過敏性腸症候群と診断された僕の体験談を書き留めます。

 

今回は、症状が特に酷かった僕の高校時代について主に述べます。なお、現在の僕は過敏性腸症候群の症状がかなり改善されているため、その点についても述べるつもりです。

 

現在過敏性腸症候群で苦しんでいる方々にも、そうでない方々にも、この記事がお目に留まれば幸いです。

 

(便の話も行うため、読んでいて不快に思われた場合は申し訳ないです。)

 

 

過敏性腸症候群の簡単な概要

過敏性腸症候群を一言で表すと、ストレスによって腸の辺りに何らかの異常が生じる病気です。その結果、腹痛やお腹の張り、便秘、軟便、下痢などの症状が引き起こされます。

 

この過敏性腸症候群の最大の特徴は、腸に炎症などの目に見える異常が見当たらない点にあります。

 

一見すると特に腸に異常は認められないにもかかわらず、腹痛などの症状が長続きする場合が多いです。そして、ストレスにより腹部に異常が起こる原因については、現在も完全には解明されていません。

 

症状に関しては、本当に人それぞれです。頻繫に便が出る方もいれば、便秘が長く続く方もいます。症状の程度にも差があり、日常生活を送ることが困難な方もいます。

 

過敏性腸症候群は、腸の直接的な異常ではなく、あくまでも精神的なストレス由来で引き起こされる症状であるため、治療が難しいだけでなく、周りからの理解も得にくいと思います。

 

日本大腸肛門病学会によると、日本人口の10~20%の方々が過敏性腸症候群の症状を抱えているみたいです。おそらく症状が軽い方や症状に気づいていない方も多いと思いますが、過敏性腸症候群が意外と身近な病気であることを知ってくださると嬉しいです。

 

過敏性腸症候群の体験談

僕の過敏性腸症候群の体験談について時系列に沿って述べていきます。

 

まず、中学時代の僕は、お腹の異常を頻繫に感じる経験が特にありませんでした。過敏性腸症候群に該当する症状が現れるようになったのは高校時代からです。

 

具体的なタイミングは記憶にありませんが、高校1年生のある時期から便(大)の出る頻度が増えていったことを覚えています。

 

普通の人は大便の回数が1日に1回か2回程度だと思います。

 

しかし、当時高校生だった僕は朝だけで最大4回大便が出ていました。しかも、健康な硬い便ではなく、いわゆる軟便でした。

 

毎日必ず朝に4回大便が出ていたわけではありませんが、「朝起きて大便→朝ご飯を食べた後に大便→朝家を出る前に大便→電車通学で電車から降りて大便」と、学校が始まる前の数時間の間に大便が4回も出ることが多かったことを鮮明に覚えています。

 

朝に4回も大便が出ていたことが一番衝撃的でしたが、朝の時間以外の昼や夜の時間帯にも大便が出ることが多く、当時の一日の大便の回数はかなり多かったです。少なくて1日5回、多くて1日10回といったところでしょうか。

 

また、繰り返し軟便が出るだけでなく、お腹の張りや腹痛を感じることも結構ありました。

 

当時はよく便を出していましたが、便を出した後も便がお腹にまだ残っているようなお腹の不快感をよく感じていました。痛いというよりも気持ち悪いと感じることの方が多かったです。

 

お腹に便やガスが溜まっていたせいか、お腹が鳴ることも結構ありました。お腹が空いているわけでもないのにお腹が鳴っていて、当時はすごく恥ずかしかったです。

 

このような症状に悩まされながら、高校1年生から2年生になりました。

 

よくわからない症状を仕方なく受け入れながら学校に通い続けていましたが、さすがに辛くなってきたため、高校2年生の1学期のある日に初めて内科へ行きました。

 

便がたくさん出たりお腹が気持ち悪くなったりするだけで内科に行っていいのかという疑問もあり、診断してもらいに行くのが遅くなってしまった気がします。

 

便がたくさん出ることやお腹が張ることなどをお医者さんに伝えました。そして、その日から薬を処方され、毎日薬を飲むようになりました。その薬には「過敏性腸症候群」用の薬であることが示されており、この時初めて僕は「過敏性腸症候群」という病気の存在を知りました。

 

お医者さんは過敏性腸症候群について何も説明してくれませんでしたが、僕は過敏性腸症候群について自分に調べて知識を得ました。そして、自分のお腹の症状がストレス由来であることを理解しました。

 

どうしてストレスを感じていたのか正解はわかりませんが、たぶん学校に行くのが苦痛だったのだと思います。

 

例えば、休日に関しては、平日よりも大便の回数が少なめでした。休日の朝に4回大便が出ることはまず無かったです。

 

そもそも、平日の朝に大便が出るタイミングとして、家を出る直前と電車から降りた直後がありましたが、このことから学校へ行くことが無意識にもかなりストレスだったのだと思いました。(電車に乗っているとお腹が苦しくなる方は割といるみたいです。)

 

とりあえず、内科から過敏性腸症候群と診断され、薬を毎日飲む日々が続きました。内科には高校2年生の終わり頃までの約1年間通い続け、定期的に薬をもらっていました。

 

結論を述べると、薬を飲んでいたからといって過敏性腸症候群が改善することはありませんでした。

 

もしかしたら気づかないうちにやや症状が改善していたのかもしれませんが、大便はあいかわらず朝を中心にたくさん出ていました。お腹の不快感も顕在でした。

 

高校2年生の時に一度だけ内科で大腸検査を行いました。もしかしたら癌などの別の病気の可能性も一応あります。しかし、大腸検査では大腸に特に異常は見られず、結果としてストレス由来の過敏性腸症候群を発症していることがさらに明らかになりました。

 

頑張って内科に通い続けていましたが、いつまでも治らないため、高校3年生になる前に内科へ通うのを止めました。この時はもう諦めていました。

 

そして、高校3年生になりましたが、変わらず異常な量の軟便や腹痛、お腹の張りに苦しんでいました。学校に行くのがさらに苦痛になっていた気がします。受験生だったわけですが、お腹が痛くて受験勉強どころではない時もありました。

 

辛い高校生活でしたが、高校を卒業した途端、なんと改善が見られました。

 

大学生になり、大学から近いマンションから歩いて大学に通うようになります。また、平日は毎日朝の1限目から登校するわけではありませんし、遊べる時間も多いです。高校と比べるとかなり自由な生活を送れます。

 

大学生になった僕はすぐには気づきませんでしたが、大学生になってから明らかに過敏性腸症候群の症状が改善されました。朝4回大便が出ることは無くなりました。

 

内科で薬を貰っても治らなかったのに、大学生になった瞬間に便の回数が一気に減ったことには驚きました。やはり過敏性腸症候群はよくわからない病気です。

 

過敏性腸症候群の症状が結構治まった理由として、「環境の変化」が挙げられると思います。

 

おそらく高校時代の僕は電車通学や高校のクラス単位の集団生活に苦痛を無意識に感じていました。これらによるストレスが過敏性腸症候群に繋がっていたのだと思います。

 

そして、ストレスの原因と考えられるものが大学生になってからは無くなりました。不思議な話ですが、環境が変わっただけでここまで改善されるとは本当に驚きです。

 

なお、完全に過敏性腸症候群が治ったわけではないと思っています。

 

便の回数や状態などは良くなりましたが、お腹が張ったりお腹が鳴ることはたまにあります。また、緊張している時などに便が多く出ることも一応あります。しかし、毎日軟便が何回も出ていた高校時代と比べると、症状はほぼ改善されたと言っても過言ではない気がします。

 

現在、大学生になってから4年以上経ち、僕は今大学院の1年生になっています。この4年以上の期間で、朝4回も軟便が出た日は一度も無かったです。便が出過ぎないだけでありがたい毎日です。

 

以上、僕の過敏性腸症候群の体験談を長々と述べました。僕が過敏性腸症候群でこんな感じで苦しんでいて、最終的には改善されたというのを知ってくださると嬉しいです。

 

過敏性腸症候群で現在辛い思いをしている方々へ

僕は病院の薬では過敏性腸症候群が治らず、高校から大学へと環境が変化したことにより、症状が改善されました。

 

もちろん、過敏性腸症候群を抱える全ての人がこのように改善されるとは思いません。実際に環境が変わっても症状が改善されなかった方もいらっしゃると思います。

 

しかし、僕の経験だけからの言葉になりますが、過敏性腸症候群は絶対に治らない病気ではないと思っています。

 

ストレス由来の病気なので、そのストレスの原因を取り除いてしまえば、理論上は過敏性腸症候群が治るはずです。

 

そんな簡単に上手くいけば苦労しない話ですが、高校時代の僕みたいに過敏性腸症候群の自分を受け入れて諦めるよりは、過敏性腸症候群を治すにはどうしたらいいのかを考えた方が良いと思っています。もう治らないと諦めてしまうと本当に治らないかもしれません。

 

過敏性腸症候群の症状が改善されるきっかけも本当に人それぞれだと思いますが、そのきっかけとして「病院に行くこと」、「環境を変えること」、「理解してくれる人と話すこと」の3つが主に挙げられると思います。

 

まず、僕には効果がありませんでしたが、過敏性腸症候群を治すための薬を摂取すると良いかもしれません。

 

過敏性腸症候群用の薬にも様々な種類があるらしく詳しくは知りませんが、とりあえず近所の内科に行って薬を処方してもらうと良いと思います。過敏性腸症候群がマイナーな病気だとしても、さすがにお医者さんは過敏性腸症候群のことを知っているはずです。

 

薬を飲んでいるだけで気休めになり、症状が和らいだという方もいらっしゃるみたいです。病院に通う余裕があれば、まずは病院で薬を貰ってみるのが良い手な気がします。

 

もちろん、薬で症状が改善されなかった方も実際に多いのではないでしょうか。薬を飲んだからといってストレスが完全になくなるわけでもないですし、やはりストレスの要因を無くす、または減らすのが大切だと思います。

 

そのため、僕のように自身の置かれている環境を変えることが、過敏性腸症候群の症状を和らげるきっかけに繋がるかもしれないと僕は思っています。学校や職場がストレスの可能性があるなら、思い切ってその場所から離れた方が良いかもしれません。

 

ただ、学校や職場に通っていて、今すぐその場から離れるのは難しいことも多いでしょう。

 

電車通学から自転車や車での通学に変える、睡眠時間や食事の時間を調節する、食べる物を選択し、お腹が痛くなりやすい物は食べない、などのように少しだけでもいつもの生活に変化を与えてみると良いかもしれません。僕はあまり意識していませんでしたが、健康な生活を心掛けると症状が改善される可能性もあります。

 

(ちなみに、高校時代電車通学だった僕は何回か自転車で頑張って学校に向かっていましたが、自転車の日は電車通学の時と比べるとお腹の調子が良かったです。)

 

同じ場所に一生居続けなければならないことは無いと思うので、今の居場所がストレスな場合は、その場所を去ることができるまでは少しずつ工夫してみてください。

 

また、病院での薬の処方と関連しますが、もし処方されている薬に効果が無かった場合は、別の病院に行ったり別の薬を処方してもらったりするのも手だと思います。病院も薬も様々ですので、一つの病院や薬にこだわるよりは、いろいろな方法を利用するべきです。

 

そして、「理解してくれる人と話すこと」が過敏性腸症候群を治すために一番大切だと思っています。

 

僕は高校時代に過敏性腸症候群でかなり苦しんでいましたが、このことは誰にも話していませんでした。病院には勝手に行っていたので、親も知っていません。

 

ただ、当時を振り返ってみると、過敏性腸症候群のことを周りの人に話して自分の状態を知ってもらえば、絶対に気持ちが楽になっていただろうなと感じます。

 

ほとんどの過敏性腸症候群の方は、周りに過敏性腸症候群の人がおらず、どうして自分だけ…と落ち込んでしまうことも多いのではないでしょうか。

 

そのように落ち込むことは余計にストレスになると思うので、本当に信頼できる人にだけ、過敏性腸症候群のことを打ち明けたら良いと思います。

 

自分の状態や過敏性腸症候群のことを知ってもらうことで、間違いなく気持ちが楽な方に向かうでしょう。一人で抱えこむのは絶対にやめてください。

 

周りに信頼できる人がいないという方は、ネット上で探してみてください。TwitterなどのSNSには、過敏性腸症候群で苦しまれている方々のコミュニティのようなものが存在します。

 

自分の周りに同じく過敏性腸症候群で苦しんでいる人がいることは滅多にないでしょうが、SNSだと、かなり多く見かけられます。

 

同志という表現が正しいかは疑問ですが、同志とコミュニケーションを取ることで、また気持ちが楽になると思います。自分以外にも過敏性腸症候群で苦しんでいる人がたくさんいると知るだけで、少なくとも、どうして自分だけ…と落ち込むことはなくなります。(僕も症状が酷かった高校時代にそのようなコミュニティに所属したかったです。)

 

 

長々と述べてしまいましたが、とりあえず、過敏性腸症候群は決して治らない病気ではないということだけはもう一度主張しておきます。

 

治すための方法が人それぞれなため、全ての人に共通するアドバイスは送れませんが、僕みたいに過敏性腸症候群がほとんど治ることもあるということは覚えておいてほしいです。

 

症状の状態や程度も人それぞれですし、そう簡単には治らないと思っている方もいるかもしれませんが、諦めるよりは何か工夫をした方が良いです。過敏性腸症候群について知っている方と話すだけでも良いです。例えば、僕でも話し相手になれます。些細なことが結果として改善に繋がる可能性は十分にあるので、本当にいろいろと試してほしいです。

 

 

現在過敏性腸症候群に悩まされている全ての方々が、快方に向かうことを心から祈っています。